ここでは【プラスアクト】という雑誌についてまとめていきます。
購入可能なものはネタバレは最小限です。
一つ一つが内容にボリュームがあるので、何回かに分けてまとめていきます。
今回は第11回目から17回目までです。(2018年8月号は拝読できていません)
プラスアクト 2017年8月号(2017/7/12発売):連載3回目
【短期集中連載】3
●81P、1ページ、1カット
●グラビア:メガネ、顔ドアップ
●テキスト:銀魂-ミツバ篇-
・福田監督から言われて嬉しかったこと
・沖田の見所
・目指した演技について
・亮くんが好きな芝居のテイスト
・北乃きいさんのミツバについて
・柳楽くんの芝居について
・竹刀での殺陣について
・沖田というキャラについて
プラスアクト 2017年9月号(2017/8/12発売):連載4回目
【1】
●81P、7ページ、6カット
●グラビア:ネイビーのシャツ、オレンジのタイダイ柄Tシャツ、ネイビーのストライプパンツ
①振り向きざま、バストショット
②横顔アップ
③顔アップ
④横断歩道を渡っているところ、目線は左、ジャケットを左手にもっている
⑤中央分離帯みたいなところに腰かけている、左手にジャケット、目線右
●テキスト:トモダチゲーム
「劇場版FINAL」でクランクインして、山田裕貴さん演じる天智と友一が森の中で隠れる場所からスタートしたんです。天智とふたりで洞窟に入って、「俺はおまえを信じた訳じゃない」と天智に言いながら自分の借金額を見せるシーン。そこから始まったというのがよかったなと思っていて。あのやりとりによって、友一は友達に対する感情がどこにあるのかみたいな部分が凄く理解できました。
山田さんはお芝居がとても素敵です。すでにちゃんと天智という役を作り上げていたので、初めてなのにやりやすかった。全然言葉を交わさずとも、芝居の中でお互い作り上げることが出来た感じがありました。最初のシーンからめっちゃ楽しかったですし、演じながら『山田君、いい役者さんだなぁ』とじわじわ感じるというか。実際、撮影する中で山田さんの存在には凄く助けられました
友一の中でポリシーというか一貫した考えみたいなものは、敢えてなくしたほうがいいなと思ったんです。普通は役の中に一本通ったものがあるけれど、今回に限っては、シーンごとに顔つきが繋がってないんじゃないかぐらいの勢いで顔つきを変えたほうが、意外と面白くなるかなと思って。だから友一ってこういう人物というのもあまり決めていませんでした。
・最初に最後のシーンを撮っていたと聴くと、友一並みに頭がいいなって
あはは(笑)あとはもう引き算するだけだったので、逆にやりやすいと思います。最初に自分が持っているマックスを全部出しちゃって、「劇場版」やドラマの撮影の時は「劇場版FINAL」でこうなるからここはこれぐらい、こっちはこれぐらいにしようって微調整しながらやっていく感じ。意外と頭は使いましたけど、やりづらいということはなかったです
シルクロードさんの集中力は凄かったです。僕に殴られるシーンとかめっちゃいい表情で。あまりにいい表情をするもんだからこっちも楽しくなっちゃって、思いきり殴れました。やっぱり自分ってドSなのかなって思っちゃうくらいの(笑)
・屋上のシーン
どのシーンも個別のカット、全員のカットを撮っていたので大変でした。確かにあの状況はずっと屋上というワンシチュエーションだから、飽きずに見せるためには色んなところに種をまいておかなきゃいけないので
・吉沢さんは自分が出た映画を劇場に観に行くことってありますか?
あまりないです。恥ずかしいし、お客さんの反応を見るのが苦手なんです。反応は気にはなりますけど、もし寝ている人とかいたらショックを受けるから。反応は全然・・気になるんです(笑)
・色んな作品に出られているのに、こうしてひとつの作品について細かく憶えていることが凄い
意外と大丈夫なんですよね。一つひとつの作品について話せることがいっぱいあるし、特に「トモダチゲーム」については撮影のことをかなり憶えているんです。「トモダチゲーム」は昨年末に集中して撮ったというのもあるし、だからこそ毎日の撮影が濃かった。スケジュール的にはきつかったけど、1本の作品に集中出来るというのは僕は好きです。そうするしかない状況だったからだけど、死に物狂いで自分を全部出せる感じが自分に合っていたみたいです。精神的にも、ここ最近では稀に見るぐらいの集中度だなと思ったし。結果的に後から考えると、そういう時のほうが自分でも納得出来る芝居が多い。
・舞台も控えていますし、芝居に対する情熱が高まっている?
高まってますよ、バッチバチです(笑)お休みは欲しいけど、少しでいい。長期的な休みは逆にきついんです。芝居をしていない時間が長くなり過ぎると、不安にもなる。それに僕、休みをもらっても何もしない人間なんです。現場にいるほうが、あとになって「あの時よかったな」って思うことが多いんです。4月までパッツパツに仕事が入っていて、そのあとにお休みを頂いたんですけど、やることなさ過ぎて死にそうでした(笑)
・隣でマネージャーさんが「暇って言うけどそこそこ仕事はあったんですよ」とおっしゃってますが・・芝居の現場が少なかったということですか?
はい、芝居出来る現場が好きなんだと思います。芝居をしていると充実しているなって感じます。こないだ「銀魂」原作者の空知先生のインタビューを読んだのですが、「マンガ家はマンガを描いていないとクソニートです」みたいなことが書いてあって。役者もそうなんだろうなって思って(笑)芝居していないと何にもない人間なんだろうなって、めちゃくちゃ実感したというか。もうちろん俳優さんでもアグレッシブな方は大勢いらっしゃいますが、僕の場合は、本当に芝居してないとダメな人間なんだろうなって
普段は本当にだらしない生活しています。暇な時にすることがないので、「趣味が欲しい」ってよく言っているんですけど、これいいかもと思ってもなかなか続かない。面倒くさいな~って思っちゃう
家から5分圏内にジムがあるとか、5分圏内にいい感じの喫茶店があるとか、5分圏内の楽しみを探しています(笑)でも最近はちゃんと外で食べるように心がけていて
・以前はどうだったんですか?
自分では作らないので、買ったお弁当を家で食べたりしてました。でも一時期「自炊しよう」って思ってやっていた時期があったんですよ。肉野菜炒めを死ぬ程作っていました。最近はそれすらもやらなくなっちゃいましたけど・・でも「コンビニ弁当はやっぱりダメだ、せめて外で食べよう」と思って、家から3分圏内を歩き回って、自分で探してみたんです。そしたら家から30秒ぐらいの場所に、おじいちゃんおばあちゃんがやってる定食屋さんみたいなのがあるって知って。雰囲気が凄く好きで、昼に通うようになりました。
・どんな雰囲気なんですか?
開店してから40年とか経ってるんじゃないかっていうぐらいの、古い普通の定食屋さんです。おじいちゃんが料理を作りながら、ずっと奥さんに対してグチグチ文句を言ってるんです。「やりなさいよ」とか言われて、おばあちゃんは無視してる。「はいよ、ありがとね~。何百円ね」みたいな。こっちもずっとおじいちゃんのグチを聞きながら待ってるみたいな
今行きたいところだと、福岡でのんびりしたいです。仕事で福岡に行く時はあまりのんびり出来ないことがほどんどなので、おいしいご飯とおいしいお酒を飲みたいですね
【短期集中連載】4
●87P、1ページ、1カット
●テキスト:羅生門
今、僕はひたすら歌とダンスのレッスンを受けていまして。本稽古に向けて、まずは基礎を作っている感じです。ダンスは先生とペアで練習しているのですが、アプローチが本当に難しいけど興味深い。例えば、「超スローモーションで攻撃するから超スローモーションで避けて下さい」とか言われるんです。身体がツリそうになります(笑)あと、しりとりをしながらダンスを組み立てていく時も。どういうことかと言うと、例えば「リンゴ」だったら自分が思い浮かべるリンゴの動きをする。僕の場合、思い浮かんだのは「丸い」「赤い」なでですね。で、相手はそれを受けて、「ゴリラ」だったら同じようにそこから思いつく動きをする。そうやって次々しりとりから派生した動きを増やしていって、最後に繋げて”振り”として曲に合わせて踊るんです。
最初は全く初めての経験で驚いたけど、想像力を試されているのかなって感じました。それこそ身体全体で芝居をしているというか、動きがセリフになっているようで頭も物凄く使うし、かなり高レベルの表現だなと。単語から思い浮かべる動き自体は、どんな動作をしても絶対に否定されないので、自由に発想することだ出来ました。それで言えば、先生の発想力はやっぱり凄い。「リンゴ→赤い→情熱的」という感じで、瞬時に大きな広がりを見せてくれます。僕はまだ、単語そのものの状態で止まってしまうので、毎回ハッとさせられます。今はまだ大変なことのほうが多いけど、ちゃんと慣れてきたら、「レッスンは本当に面白い」ってなる気がしています。早くその域にたどり着きたい。今、どんどん色々なことへの想像が大きくなって、世界は本当に広いって感じるんですよね
歌のレッスンも結構専門的な域でやらせてもらっていて。高い音域を喉に負担かけないでそれだけ出せるかとか、ギターのチューナーに向かって音程をピッタリ合わせるとか・・難しい!でも、最近楽しくなってきて、高校時代の友人でミュージシャンになったヤツにギターを教えてもらい、家でずっと唯一出来るようになった4小節をひたすら繰り返しています。だから、演奏が終わらない。まずは早く曲を終えられるようになりたい(笑)
僕はわりとドロドロした世界観が嫌いじゃないというか・・弱い人間が弱いまま生き続けて、最後に少しの救いがあって終わるような作品が元々好きなんです。僕自身が弱い人間だからなのかもしれないですけど。だから、自分のそういう部分や感覚も、今回の舞台で活かせればいいなと思っています
感想
・演技の引き算の話や、相手の演技で思わぬ自分の性格が発見してしまう話、ワンシチュエーションを飽きさせず魅せることへの意識など興味深かった。そしてインタビューも感嘆する亮くんの作品への記憶力が凄い。いくつもの作品を撮影し、露出としてインタビューを受ける時は、撮影から時間が経っていることも多いだろうに、きちんと憶えていて、その時の感覚や感情、意識していた点などをきちんと伝えることができる。それは亮くんがひとつひとつの作品に真剣に向き合って、全力投球しているからこそ出来る事だと思うし、本当に尊敬できる。いや、もう尊敬を通り越して崇めたてたい。
・芝居に対しての情熱と正反対に、プライベートが・・w 徒歩30秒~5分圏内の楽しみを見つけているのが極端だなと。亮くんは家でもソファから手の届くところに全部置いておくタイプなのかなとか想像してしまう。”芝居をしていないと何もない人間”って自己分析がちょっと切ないのと同時に羨ましいなと。そこまで打ち込めるものがある人間ってそうそういないし、それが仕事だって凄い。
・自炊をしようっていつ思って実行していたんだろうか?気になる。身体を考えてくれてありがとう!!!!自分をいたわってくれてありがとう!!!代わりのきかない亮くんだから、健康を意識してくれて、行動に移してくれてありがとう。いつまでも身体と精神が健やかでいてくれることを願うばかり。
オススメ度:★★★★☆
プラスアクト 2017年10月号(2017/9/12発売):連載5回目
【短期集中連載】5
●64P、1ページ、1カット
●グラビア:ネイビージャケット、白Tシャツ
●テキスト:斉木楠雄のΨ難
僕は今、舞台「百鬼オペラ羅生門」公演中です。共演者の方々のお芝居が上手過ぎて、必死に食らいついている毎日です。この経験は、絶対に自分の糧になる気がしています
海藤って、かわいいんですよ。周りから見たら、中2病でちょっと痛い、人の話は聞かず自分の世界に入り込んでいる男なんだけど・・それって、ちょっと俺じゃない?って(笑)女性から見てかっこいい部分は全然ないかもしれないけど、なんか凄く愛着があって。あと、「斉木~」という作品は、どこか青春なんですよ。超能力の話ではあるけど、なんでもない会話劇や日常感も随所に漂っていて、僕にとってはとてもキラキラしている青春物語なんです
いやぁ、今回が一番福田さんを笑わせられたと思う!福田さんが笑ってくれたら勝ちなので、現場では様々なキャスト陣による本気の闘いが繰り広げられていました(笑)だからこそ、絶対に面白いものになっていると思います!
演じる上で重要視していたのは、動き。なんていうか・・いちいち動きがうるさい感じにしようと思って。例えば、ひと言発する度に方が大きく動いて、それが凄くダサく見えるとか。セリフを言う時に、ある意味型のようなイメージで動きは付けていました。芝居も敢えて大きく、言ったら”仮面ライダー”の時の3倍くらいの勢いで。で、演じているうちにどんどん楽しくなっちゃって、福田さんからは「海藤に関しては想像していたよりも遥かに遠くへ行っちゃったから、亮くんの好きなようにやって」と言って頂きました(笑)
コメディーは演じるのも楽しいけど、観るのも大好きで。色々なテイストに興味があります。ベタベタな世界観も好きなし、ワンシチュエーションの会話劇もめっちゃ面白いと思う。でも、役者が演じるジャンルとしては一番難しいんじゃないかなと。あと、やっぱり恥ずかしさを捨てて、極めて真面目に臨まないと。”面白いことをやっているでしょう?”という意識で演じたら、ダメなんですよね。追求していくと、凄く奥深いものだと思っています
プラスアクト 2017年11月号(2017/10/12発売):連載最終回
【短期集中連載】6(最終回)
●81P、1ページ、2カット
●グラビア:黒ニット
●テキスト:
最近、気がついたらもう・・ということが凄く多い。数年前は”この役柄を演じていた時はこんな心情だったなぁ”とか結構憶えていたんですけど、今は役名すらなかなか出てこない時もあって、毎日毎日を必死に過ごしている自分を感じています。脳内が忙しいです。
「羅生門」ではお芝居中に汗、涙、鼻水、よだれと液体を出しまくって、ひたすらその中を漕いでいます。ここまで舞台上で感情的になるのは初めてです。今まではもっと冷静だったというか、ドン撮りとかもわりとドライに捉えながら演じていた部分があって。僕が縛られながらひとりで長く喋っているシーンがあるんですけど、そこは特に感情を揺さぶられています。だから演じている時の空気感も含めて感情がしっかり繋がったお芝居が出来た日は、もう本当に気持ちがいいんです。舞台はやっぱり生きものなので、日によってテンションや出来栄えが変わる。でも、それも舞台の醍醐味なんだと、自分が感情的になれたことでより思えることが出来ました
実はゲネプロと初日でお芝居をガラッと変えたんです。ゲネで衣装や照明、ダンスなどがちゃんとした形で世界観として見えた時、それまでの自分のお芝居じゃ全然ダメだと思った。それは自分の中に流れている感情を変えた訳ではなくて、感情の出し方を変えたというか。もっともっと出さなきゃって思ったんです。だからもう、初日公演前は足が震えました。恐ろしかったです。終演後に「よくなった」と言われて、やっと少しホッとしました。毎回終演後は何も喋りたくないくらい体力的にも精神的にもクタクタですけど、お芝居の楽しさは凄く感じています。とことん疲れた翌日でも深呼吸をして切り替えると集中できるので、どこかにスイッチみたいなものがある気がする。どこにあるのかまだ自分でも把握出来ていないので、少し不思議な感覚なんですけど
僕はもともと感情的な人間ではないので、お芝居で発散している部分もあるように思います。あと、この仕事を始めてから、時々「凄く悔しい」とか「もうダメだ」とか、僕自身が日常生活で激しい感情を抱く瞬間、同時にそれを俯瞰で見ている自分がいて。”この感覚は次の芝居で使えるな”とか思ったりするんです。そういう意味では、僕自身が濃度100%で感情的になることは無いに等しいのかもしれません。それに、色んなことをお芝居に結びつけて考えるのも好きなんだと思います
作品に入っている時期は「もう無理!」って弱気になる時もあるけど、演技をしていない期間が続くと「芝居がしたいーーーー」と気持ちが騒ぎ出すので、最近判明したのは、おそらく僕はビール依存性ではなくお芝居依存性なのだと思います(笑)
プラスアクト 2018年1月号(2017/12/13発売):2017年振返り
●81P、6ページ、4カット
●グラビア:グレーのアウター、ネイビーのカットソー、ネックレス
①左半身少し電柱で隠れている
②両手で上着持っている、後ろに白い車
③光と陰で右側の顔はまったく見えない、左目は陰、バストショット
④横向き、前かがみでカメラ目線、両手で上着持っている、車の窓にも映っている
●テキスト:2017年の振り返り
・2017年は、異常ではない忙しさだったと思いますが
確かに、改めて今年出た作品をズラッと並べて見ていくと、「ああ、こんなにあったんだ」と思うんですけど、本当のところはどうだったんでしょう?実際に今年撮影したものというと・・映画「LAST COP THE MOVIE」、「ぼくは麻理のなか」、そうですね。ドラマで言うと「下北沢ダイハード」と「恋する香港」。あと来年公開の映画では「リバーズ・エッジ 」、「あのコの、トリコ。」、ほかにもいくつか撮りました。それと秋には舞台「羅生門」・・というところが今年分という感じでしょうか
・出演作が続く中、準備が追いつかずパニックになってしまうことはなかったか?
それは意外と大丈夫でした。色んな作品を縫いながらというのは、実はこれまでもやってきたとこなんです。だから、役の切り替えみたいなところで苦労するのはあまりなくて。切り替えられないじゃなくて、むしろ切り替えが激しくなってきているかもしれないです。正直、自分がやった役をここ1~2年のものでもすぐに思い出せない、というようなこともあったりして
・ここ一年休みはありましたか?
ありましたよ。4月、5月は結構休めました。いや、休みと言うと大袈裟かもしれませんけど(笑)、この2ヶ月は作品に入ってなかったんです。芝居をしていなかった、という意味で休んでいたという印象があって。確かそのころ、写真集「One day off」のプロモーションを色々とやらせてもらっていて。
本当にきつかった時期と言うと、「リバーズ・エッジ 」と「ぼくは麻理のなか」の撮影が重なった2月と、「羅生門」の東京公演と地方公演の間で香港に行って「恋する香港」を撮影した9月ですね。2月と9月は、昨年「トモダチゲーム」を撮っていた時と同じぐらいのきつさだったかもしれないです
・現場で大切にしていることは?
正直に言うと、作品によって意識すべきところって変わってくるんだと思います。ただ、その中でも毎回これは特に意識しているなというものがあって。それは、お芝居に適した空間を作り出そうということ。僕は自己中心的な人間ですから(笑)
・つまり、そのために人とのコミュニケーションが重要な時もあると?
そういうことです。もちろん「今この人芝居やりづらそうだな」と気づいた時には、どうしたらこの人が芝居しやすいようになるのかと考えたりもしますけど。例えば「あのコの、トリコ。」を撮っている時は、幼馴染みの3人で芝居する時にやりづらくならないようにと共演者と意識して喋べるようにしていました。芝居の話をするのではなく、ただの雑談でしたけど、コミュニケーションをちゃんと取るようにしていて。・・よくよく考えると、多分全部が全部、作品をよくしたいから、というのはあると思います。自分の芝居を損なわないようにしたいというのも、共演者が芝居する時にやりやすい環境を作りたいというのも、結局は作品のためですから。作品のために出来ることを全部やってやろうというのが、僕がいつも現場で考えていることかもしれないです
・小栗旬さんの在り方を見て感じることは?
小栗さんは、本当に凄い座長でしたね。かっこいいなって純粋に思います。とにかく、作品に対しても、共演する役者達に対しても、周囲のスタッフに対しても、愛情が凄いんです。ちゃんと安心させてくれるというか。それも”ついて来い”タイプという訳ではなく、勝手について行きたくなるタイプの人というか・・本当に銀さんみたいな人で。「この人、凄い!」と素直に思える方でした
・福田監督との仕事の面白みはどんなところにあるのでしょうか
福田さんの作品は、ひたすら現場にいるのが面白いんですよ。ほかのキャストの芝居を見ているだけで、ゲラゲラ笑えるんです。それこそ笑いを堪えるのが一番大変で。ただ、面白いのと同時に僕にとっては怖い現場でもありあした。要は、周りが面白過ぎて自分は何も出来てない・・という怖さを覚えてしまう現場なんです
福田監督の作品の笑いって、ある意味コメディーというよりギャグに近いっていうものだと思う。それぐらい面白い。現場でほかのキャストの方の演技を見ていると、芸人さんを見ているような気持ちになるぐらいで。それで、「ほかの人の芝居を見ているのはいいけど、自分は芝居したくないな」っていう気持ちが、正直「銀魂」で沖田を演じている時にはあったんです
・柳楽さんとの共演はいかがでしたか?
めちゃくちゃ面白かったです。柳楽さんの度胸とセンスには最初から驚かされっ放しでした。初日から、柳楽さんのツッコミが全てを持っていっていましたから。よくまあ初日の、しかも最初のセリフで爆笑をかっさらっていけるものだなと感動して。しかも、サラッと全く力を入れていない感じで言って面白いというのが凄いなと。自分だったら無駄に力を入れた状態の”笑いを求めた”セリフになりそうだなと思ったことを憶えています
・「羅生門」
銀粉蝶さんが凄かったです。ド本物のプロという感じでした。芝居が上手いのはもちろん、存在感自体が”舞台に立つ人”そのものでした。あと実は、銀さんの芝居が一番本番で変わっていたんです。それも毎回。銀さんを見ていると、本当に舞台を楽しんでいらっしゃるのがわかるんです。楽しんでいるからこその特別なエネルギーみたいなものが溢れていて。いい意味でキッチリやろうとしていないというのもいいなと思いました。
わりと舞台というものは毎日同じ間、同じテンポ、同じ感情の流れを作ろうとするんですね。でも本当にそれが可能なのかというと、そうではないんです。やっぱり役者も人間なので、毎日同じ芝居が出来ない。もしかしたらお客さんからしたら同じに見える、というぐらいの微妙な違いなのかもしれませんが・・それでも演じ手のひとりとしては出来なかった日というのは、相当落ち込んでしまっていたんです。でも今回、銀さんの芝居を見て、「もしかしたら芝居ってこれが正解なんじゃないかな」と思う瞬間が多々あって。毎回同じになんて出来ないからこそ、その日、その1回でやれるベストを尽くそうと思えた。
・説明的なものを排した舞台は演じ手としての本当の力量が問われるものになると思うが
そうですね。だからきつかったです。でもだからこそ本当に楽しかった。そもそも、舞台上でここまで感情的になるっていうことが初めてだったんです。こんなに感情的になる毎日が続くと、ちょっと頭がおかしくなってしまうんじゃないかと不安になるぐらいで。もちろん今までの舞台でも湧き上がる瞬間はあったのですが、あらかじめそう決められたものをたどっていった結果という感じでしたから。同時にちゃんと冷静な自分もいて、「どうしたらこのセリフを噛まずに言えるか」ということも考えながらやっていたんですよ。でも、「羅生門」では『噛むのも味になるかな』というぐらいでやっていて。僕も銀さん程ではないですけど、その日その日で芝居も変わっていったと思います。・・なんだか上手く言えないんですけど、『ああ、今いいものやっている』という感覚がずっとありました。自分がちゃんと出来ているということではなくて、『ちゃんと芝居をやっているな』と。それも、矛盾しているようですけど『芝居をしている』という感覚を持つことなく出来ていたなと。とにかく、もの凄く楽しい舞台だったことは間違いないです。でもきつさが半端じゃなかったから、終わった時には『あー、終わったー!』と解放感しかなかったですけど(笑)
芝居はずっとしていたいです。今もそう思っています。これからも何か新しい、やったことのないことをずっとやり続けていきたい。それは作品的なジャンルというより、自分がやったことのないような役をやりたいという意味で。もちろん、似通って見えたとしても、本当の意味で同じ役なんてひとつもないということは理解しています。ただ、似通った背景がある役が続くだけで、やっぱり飽きてしまう自分もいて。例えば”根暗”ということが重要であるキャラクターを演じることになったとして。初めてやる時は凄く色んなことを考え、『どうやれば根暗なヤツに見えるんだろう?』と様々試してみるんです。でも、”根暗”なキャラクターがその後続いてしまうと、なんとなく”根暗の型”みたいなものが出来てしまい、それを使おうとしてしまったりする。1回1回、自分の中の何かを動かして演じていくのではなく、あらかじめ用意してあった型を使って、省略して演じていく・・・そうんな感じに固まらないように、出来るだけ新しいことに挑戦出来たらいいなと思っています
感想
・2017年9月号ではたくさんの作品に出演しているけど、一つ一つきちんと憶えている感じだったのに、四ヶ月後のこの号では最近の作品の役柄ですら思い出せないこともあると。すごいスピードで進化していっているのかな~。忘れるというと悲しいことのように思うけど、今の仕事に集中、向き合っているからこそなのかなと
・芝居ファースト、作品ファーストその精神を語ってくれている。しかもそのために出演者とのコミュニケーションを取るとか、主演という立場を経験してきて、人見知りで現場で誰ともしゃべらないこともあったと語っていたころとは全然違う。作品の為にだったら自分にできる最大限のことをする、しかもそれを自己中心的な人間だって謙遜しているところが、貴すぎる。
・「羅生門」の舞台を熱っぽく語る亮くん、その記事を読む度に観劇できていないことを悔しく思う。出来ることなら、この舞台の前の舞台から観たかった。そして、初めて舞台上で感情的になる亮くんを感じたかった。次の舞台はいつになるんだろうか?この感触であれば、今年も舞台があってもよさそうな気がするけど、なかったしな~。いつか亮くんの生の演技が観てみたいな
・あと”型と省略と新しいことへの挑戦”、芝居を作業にしたいくないという意思が伝わってくる。安易に省エネに走らないで演じようとしている姿が素晴らしいよね。
オススメ度:★★★★☆
プラスアクト 2018年2月号(2018/1/12発売):2018年の作品
●82P、8ページ、12カット
●グラビア:黄色ベースのチェックのコート、青のストライプシャツ、ネイビーのパンツ、真ん中分け
①斜めのアングル、バストショット
②両手ポケット、正面、ほぼ全身
③②の引きのショット
(シルエット④~⑦)
④右手を頭に
⑤横顔
⑥右足で何かを蹴っている感じ
⑦後ろ姿
⑧目を閉じている、バストショット
⑨顔アップ、目線右
⑩目を閉じている、真ん中分けが風で乱れている
⑪横顔、風で乱れている
⑫両手ポケット、右手にコートかけている、全身
●テキスト:2018年の作品について
・中村文則さんの小説のどんなところに惹かれるんですか?
・・暗いところかな。中村文則さんの小説に全体的にある”薄暗さ”、それは絶望感とも言えるんですが、その感じが凄く好きなんです。絶望のまま終わる訳じゃなく、最後にはちょっとだけ登場人物が報われるていくというのもいいなと。つまり、ちゃんと愛があるんですよね。暗いと言っても、凄くロマンティックな暗さだと思っていて。僕自身も暗い部分がある人間なので、中村文則さんの表現方法には凄く共感出来ますし、沁みるんです
・中村哲平監督
現場でも感じていたんですけど、仕上がった画を観てまた改めて凄いセンスだなって思いました。めちゃくちゃかっこいい画を撮られるんですよ。この映画の中で何を象徴として撮っていくか・・そういうところのセンスが凄いなと
ロケーション選びもかなり上手いなって思います。例えば、この映画には文宏と伊藤が会ってふたりで話すシーンが何度か出てきますが、そのロケーションが全部素晴らしい。もの凄く汚い川をバックに撮ったり・・現場にいる時からこれはいいなと思っていたし、仕上がりを観てもグッとくるものがありました
本当に、中村監督との仕事は楽しかったです。何より、中村監督自身がすっと楽しそうだったのでそこが僕としてはまた嬉しくて。監督とは現場でも結構お話させてもらったんです。ここのシーンの伊藤の心情はどうなのかとか・・そういう事を色々話しながら作っていって。監督は凄くエネルギッシュでアイデア溢れる人だから、話を聞いているだけでも楽しかったです
画が綺麗なだけじゃなくて、ちゃんと役者の芝居を押さえてくれるんです。役を演じていく中での心の動きをちゃんと逃さず映し撮ってくれる監督
・伊藤という役の解釈
どこか”邪”には、つまりは悪になり切れていないところがある。悪だと自分自身で思いこもうとしているだけあって、悪としては出来損ないなんですよ
”邪”の家系の人間としては持ってはいけない感情を捨てられないまま生きてきたような人間で。彼の中にあるそんな矛盾を、意識して演じていきたいと思っていました
・いつもどう役にアプローチしているんですか?
・・どうしているんでしょう?何か特殊な事情のあるキャラクターなら、まずはそこからです。例えば、何かの達人だとかそういう設定があるならば、それはちゃんと準備する必要がありますから。でも最終的に何を拠りどころにするのかというと、やっぱり脚本です。とにかく脚本を読みまくるしかないと僕は思います。その上で、その役が何を大事に思い、誰を好きで、誰が憎くて、誰を一番信用しているのか、周囲の人達にどんな自分を見せたいと思っているのか・・そういった事に考えを巡らせていく。演じる役だけじゃなくて、周囲の人々との関係性もいつも意識しながらやっているところです
・役柄一つひとつ、それだけ深く考えてた上で作っていくんですね
そうやっていくべき作品の時はそうです。でも正直なところ、そこまで深く考えないでやったほうがいいものも僕はあると思います。
人間の心の微妙な動きを表現するよりも、時に現実的じゃなくなったとしても、”わかりやすいはっきりとした演技”のほうがいい場合もある。それは映画の方向性によって、というところがあります
・山田という人間
もの凄く考えてはいたんですよ。多分、これまでの役の中で一番考えていたかもしれない。山田の人間性を、撮影中はずっと考え続けていたように思います。
本当の自分を隠すために仲良くしているカンナをどういう目で見ているかとか、好きな人であるトオルの存在とか。あともちろん、山田にとって河原の死体はどんな存在なのかとか、そういう事をずっと考えていました。多分、山田の中ではトオルと河原の死体は真逆にある存在なんだろうと思っていて
山田は死体に心の平穏を得ている一方で、トオルみたいな生の塊みたいな超好青年を好きだという・・これってどういう事だろうとかたくさん考えました。その上でどう演じればいいかと考えたんですが、正直、山田は芝居が上手ければ出来る役でもないなと思ったりもして
山田という役は演技力というより、なんだかよくわからないけれど出てくるオーラみたいなものでやっていかないといけないだろうと。この現場では、セリフのトーンとかそういう事は一切気にしなかったですね。ただそこにひとつの生命体として存在しようと、それだけでした
正直最後まで『これが山田』みたいな感覚は持てなかったです。役をつかめたかどうか、それもかわらないまま終わってしまって。もちろん、自分が思う”理想の山田”みたいなものはうっすらとあったんですよ。でもそおに届いているかどうかというのは、結局わからず仕舞いでした
・難役に追い込まれるのは嫌いではないですか?
いや、嫌いですよ(笑)でも多分僕は、追い込まれたほうが集中するタイプの役者なんだと思います。切羽詰まったスケジュールの中でなんとか撮った「トモダチゲーム」の時みたいに。「リバーズ・エッジ」ではスケジュール的な事に加え、山田という役の大きさというか、難しさに精神的にも追い込まれていきました。本当に苦しみました。でも、やっぱりそれでも山田を演じられてよかったなって
・立ち向かう相手、役柄が手強ければ手強い程燃えますか?
それはあります。嫌なんだけど、苦しいんだけど、モチベーションは上がるという。山田の場合は相手が手強すぎて、僕としては勝負には勝てず仕舞いでしたけど(笑)山田に関しては150%の力で向かったのに、やれる事は全部やったのに、届いたかどうかすらわかりませんでした。本当に凄まじい役でした。これまで出会った役の中でも一番の強敵だったと思います
感想
・写真が最高にカッコイイ!!!文句なくカッコイイ!!!そりゃいつだって亮くんのビジュアルは最高だけど、圧倒的過ぎる!!撮影は「悪と仮面のルール」の中村監督。
・テキストは伊藤と山田役の掘り下げについて、すごく濃密に書いてある。
オススメ度:★★★★☆
プラスアクト 2018年10月号
総括
全18回のすべては網羅できなかったですが、その中でもオススメの5冊はこちら!
総合1位
2014年7月号(2014/5/27発売)
写真最高
・2016年10月号(2016/9/12発売)
・2018年2月号(2018/1/12発売)
テキスト最高
・2017年9月号(2017/8/12発売)
・2018年1月号(2017/12/13発売)
購入を迷っている方の後押しになればいいなと思います。